威厳が失われつつある「KING OF ASIA」
とはいえ、やはり「勝ちたかった」という思いは消えない。2013年のコンフェデレーションズ・カップ、そしてブラジルW杯、アジアカップ、東アジアカップと結果が出ない大会が続いているのは少し気がかりだ。アジアや世界でのJリーグの立場を考えても今大会では勝利を求められていた。
もちろん日本代表の未来を担うニューフェイスの成長に重要な大会だったが、日本人は“先輩”がいなければ成長しにくいのではないかと思ってしまう。チームの中に少しでも経験豊富で強靭なメンタルを持つ大久保嘉人や田中マルクス闘莉王のようなベテランがいれば、結果は違っていたかもしれない。彼らは試合に出ず合宿をするだけでよかった。そこで若い選手たちに厳しい環境での戦い方を植え付けることができたのだから。
アルベルト・ザッケローニ監督時代、アジアカップで優勝し、東アジアカップも勝って、完全にアジアNo.1の地位を手に入れた。サポーターも自信を持って「KING OF ASIA」の横断幕を掲げていた。しかし、今年はアジアカップでUAEに敗れてからアジア相手の公式戦で勝ちがなく、その頃の威厳は失われてしまっている。
いまから10年前の日本代表はまだ成長段階だったが、最近になって国際舞台で結果が出るようになった中で、少しスランプのような状態になっているのだと思う。まもなく再開するロシアW杯2次予選でしっかりと勝ちを取り戻してほしい。そしてもう一度「日本こそがアジアNo.1」のイメージを取り戻してほしい。
イタリア人には「結果がすべて」という文化がある。だが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は新しいことを始めたばかり。あまり厳しく批判はしたくない。彼がやっている様々なことは正しいと思う。特に選手のメンタル面には気を使っているし、日本に世界で戦うために必要な厳しさを理解させようと努力している。いまやっていることを正しい形で続けていけば、これから必ず結果が出てくるはずだ。
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