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日本代表 9年前

惨敗の中で見えたハリル流。時期尚早な結果批判、問われる代表批評のあり方

text by 河治良幸 photo by Getty Images

監督のコンセプトを理解した上での批判を

惨敗の中で見えたハリル流。時期尚早な結果批判、問われる代表批評のあり方
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 過去の記事にも書いたが、ハリルホジッチは特定の戦い方に固執するタイプではない。チームの完成度が高まれば高まるほど、時間帯による守り方やシステム、選手の配置にバリエーションを加え、相手や状況に応じたポゼッションやリードした終盤での時間を使った攻撃も導入していくことが予想される。もちろん対戦相手のスカウティングも徹底的に行い、戦い方に反映させるはずだ。

 現在は選手に対する意識付けを行いながら、そのスタイルに付いて行ける選手を探し、絞り込んでいる最中だ。ハリルホジッチ自身、個性はあるが荒削りな選手に自身の哲学を植え付け、戦える選手に育てるのが本質的に好きなタイプの様だが、もともと時間が限られていることに加え、周囲のプレッシャーも強まる中で、より早く結果を出せるメンバーを熟考していくかもしれない。

 結果が出ない時期に批判が出るのは当たり前で、東アジアカップという大会で4位に終わった事実は監督だけでなくチーム、協会として重く受け止める必要がある。

 ただ、チーム作りを考えるならば、しっかり監督のコンセプトを理解した上で評価し、例えば今大会であれば選手のチョイスや韓国戦の入り方に関する是非を問うなど、必要に応じて批判的な見解を論じていくべきだ。

 1つ1つの試合で勝利が求められるのは言うまでもないが、代表チームはクラブチームと異なり4年のサイクルの中でW杯の予選を突破し、本大会で上位に進出するという大目標があり、そこから逆算すれば東アジアカップも過程にすぎない。また二次予選の結果を軽視するわけではないが、ある程度のテストをしながら公式戦を進められる大事な期間でもある。

 ゴールを競う競技である以上、得点を決められない、失点してしまうことに厳しい意見を言うことに遠慮する必要はない。ただ、チームには結果が出る時と出ない時があり、現在はまさしく後者なわけだが、今はとにかく結果に理由を付けてバッシングする傾向が強まっている。

 会見の内容から結果を出し続けない限り風当たりが強くなりやすい気風のある人物ではあるが、できるかぎり監督のコンセプトを理解し、どういう状況になっているのかを取材者なりに分析して記事にする、評論として発言する。それこそスポーツ競技に関わるメディアとしての批判精神ではないか。

【了】

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