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日本代表 9年前

惨敗の中で見えたハリル流。時期尚早な結果批判、問われる代表批評のあり方

8月上旬に行われた東アジアカップで、日本代表は2分1敗の最下位で大会を終えた。未勝利で大会を終えたことで、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督への風当たりが強くなってしまったが、試合を通して随所に進歩も見られていることも確かである。ここで、改めて監督批判のあり方について考えてみよう。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

最下位も連係に光明

惨敗の中で見えたハリル流。時期尚早な結果批判、問われる代表批評のあり方
東アジアカップで最下位に終わってしまった日本代表【写真:Getty Images】

 東アジアカップの最終戦となった中国戦は1-1の引き分けに終わったが、後半には大雨が降りしきる中で、前の2試合より組織としての機動力や90分を通しての運動量が高く、ボールの奪い方や攻撃に切り替わったところからの仕掛け方はチームとしての狙いが明確に表れるシーンが多かった。

「おそらくこれが一番良い試合だった。内容について、それから戦う意識において。ただ、この試合をこのようにできるのは、前もって知っていたことだ」

 ハリルホジッチ監督の発言に対して、概ね報道陣の反応は冷めていた。目指すスタイルに近いサッカーができたからと言って、試合に勝ち切れず、大会としても参加4チームの最下位に終わった以上、ポジティブに評価されないのは仕方のないこと。ただ、その中でチームとしての光明が見られたのも確かだ。攻撃と守備の象徴的なシーンが連続した時間帯があった。

 前半41分に武藤雄樹が同点ゴールを決めた直後、まだゴールの興奮が覚めやらない中で、相手のボールで試合は再開される。そこにFWの川又堅碁とゴールを決めた武藤がボールホルダーに素早くチェックすると、中央でパスを受けたMFウ・シのところに山口蛍が鋭くアプローチした。

 中国はここでウ・シ、ガオ・リンと経由して一瞬空いたユ・ダバオに通してトライアングルパスを成立させようとしたのだが、外側でウ・レイを見ていた宇佐美貴史が中に絞って行動を制限する間に山口が戻ってユ・ダバオにプレッシャーをかけ、斜め後ろへのパスを選択させたのだ。

 時間にしてわずか5、6秒。そこからさらに目を見張る守備の連動が展開される。後ろのワイドな位置でボールを受けた右SBのジ・シアンに対して宇佐美が動き直して縦の中寄りを切り、横パスのラインには川又が入ってサイドを変えるパスも出させない。

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