若手の躍進はやがてリオへ
カナダW杯から来年の初頭に開催されるリオ五輪予選、さらには五輪本大会に向かう1年間で大胆な世代交代は考えにくく、まして五輪の出場資格がアジアで2枠しかないことを考えれば、現実的に予選での冒険的な起用は難しい。
そうした状況で若手が入り込んでいくのは簡単ではないが、佐々木監督は「もうちょっと鍛えればこの3カ国(北朝鮮、韓国、中国)にもしっかり勝ち切るだけのものができる」と今回のメンバーに大きな期待をかける。
今大会は中国戦の後に佐々木監督が語った様に、準備期間が少なかったことも確かだが、それ以上に北朝鮮戦と韓国戦は経験不足が勝負所で出てしまった。ただ、個々のプレーに関してはそれぞれ光るものがあり、右SBで起用された京川やCBの村松など、試合を重ねる中での成長も目立った。
同世代では“大外枠”とも言える杉田がミドルシュートで2得点など輝きを放ち、19歳のGK山下が広い守備範囲や高精度のフィードで確かな存在感を示したことも代表レベルでは“発見”だ。
ここから五輪まで今回の東アジアカップの様な機会は無く、厳しい予選に向かって行く中で彼女たちが壁をこじ開けていかなければならない。なでしこリーグから意欲的に取り組んでいく必要はあるが、次にチャンスが与えられた時に、宮間あや、阪口夢穂、大儀見優季、岩清水梓といった百戦錬磨の猛者たちと共に、持ち味や勝負強さを発揮できるのか。
五輪予選を戦うにあたって、佐々木監督もわざわざ若手のために扉を用意することはできないだろうが、東アジアカップの経験を糧に狭き門をこじ開けてくる若手選手が1人でも多く出てくること、また今回は選外でも同世代の活躍に刺激を受け、指揮官の目に留まる様な選手が出てくることが、リオ五輪の新たな力になることはもちろん、懸案とされるリオ後の強化に明るい光をともすことになる。
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