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日本代表 9年前

「縦に速い=カウンター」にあらず。失敗に終わったハリル監督の“実験”

日本代表は9日、東アジア杯最終戦で中国代表と対戦し、1-1で引き分けた。大会を通じて2分1敗の最下位という結果に終わったハリルジャパン。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が掲げていた「縦に速い攻撃」から得点を奪うことが出来たものの、いまだ課題は山積みのようだ。

text by 西部謙司 photo by Getty Images

縦に速い=カウンターではない

「縦に速い=カウンター」にあらず。失敗に終わったハリル監督の“実験”
同点弾を決めた武藤雄樹【写真:Getty Images】

 3試合の中では最も良い出来だったが、課題もまだ山積みといっていい。

 武藤のゴールは日本の特徴が発揮されていた。森重と槙野がパス交換でマークをはがして槙野が前進、その間に高い位置どりをした米倉が裏へスプリントして槙野から絶妙のパスが通った。裏をとった米倉、走り込んでクロスに合わせた武藤のスピードはどちらも素晴らしく、ともに中国選手を完全にぶっちぎっている。

 20~30メートルの日本選手のスプリント能力は高く、「縦に速い攻撃」の効果がよく出ていた。

 相手のディフェンスライン背後のスペースが20メートル以下になる前に仕掛けること。そうすれば日本のスプリント能力を生かすことができる。これは間違いなく日本が強くなるためのテーマの1つだ。しかし、「常に」それを狙うのは正しくない。

 いくらラインの背後が空いているといっても、精度の低いパスではチャンスにはならない。また、日本選手が速いのは20~30メートルだけで、それ以上走ってもさほど速くないし、プレーの精度も落ちる(もちろん個人差はあるが)。むやみに縦に急ぐだけでは当然上手くいかない。

 得点シーンは後方のポゼッションから生まれていて、カウンターアタックではない。スピードを生かす攻め方=カウンターとは限らないわけだ。縦に速いが雑な攻撃を繰り返した今大会の最後に良い形で得点できた。

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