韓国が勝てば優勝、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が勝てば日中戦の結果次第で北朝鮮が男女アベック優勝、引き分ければ中国が日本に勝つと中国の優勝という状況で、東アジアカップ男子最終戦の韓国vs北朝鮮がスタートした。走力、脚力ともに同レベルに近い両者の戦いは勇気を見せ合う肉弾戦になったが、お互いにゴールを奪うことはできなかった。
前半立ち上がりから韓国がボールを支配して攻め込み、北朝鮮が人数をかけた守備からロングボールで反撃するという展開になった。北朝鮮は中国を相手に試合は支配し、カウンターに沈んだが、この日の戦いはその真逆を実現しようとしているようだった。
7分、韓国が決定機を迎える。ペナルティエリアの中でフリーのクォン・チャンフンにパスが渡った。ところがクォン・チャンフンはGKリ・ミョングクと一対一のチャンスで、遙かクロスバーの上にボールを蹴り上げてしまった。32分には右サイドからイ・ジェソンがカットインし、ゴールを狙うがGKがセーブする。
前半最大の見せ場は40分。韓国のイ・ジュヨンが左サイドからグラウンダーのパスを入れると、ゴール正面でイ・ジェソンがフリーとなっていた。イ・ジェソンは丁寧にインサイドで狙ったが、これをGKが素晴らしい反応の良さではじき出した。
両チーム無得点のまま後半に入ると、北朝鮮が一気に攻勢に転じる。力強いドリブルで進み、パス交換からペナルティエリアの中への進入を狙った。だが、最後のパスの精度が低く、決定機を作れない。北朝鮮は65分、日本戦で決勝点を奪った長身FWのパク・ヒョンイルを投入。ところがこの投入後、北朝鮮が形を整えようとしているときに韓国が反攻に出た。
70分、左からのクロスにイ・ジェソンがヘディングで合わせる。74分、韓国は波状攻撃をかけてペナルティエリアの中から3度シュートを放つが、北朝鮮はGKが外された2回をDFが体を張ってゴールを守った。79分、またも北朝鮮GKが引っ張り出しゴールを狙ったが、DFにクリアされてしまった。
88分、韓国も長身FWキム・シンウクを投入して、お互いにパワープレーを仕掛けるようになった。そして後半のアディショナルタイム、一進一退の攻防がついに決着するかと思える場面がやってくる。右サイドからのグランダーのクロスに、キム・シンウクがGKの前でコースを変えた。だが、これもGKがギリギリのところでポストの外にはじき出し、ゴールを割らせない。
タイムアップと同時に北朝鮮の選手がピッチに倒れる。韓国の選手も自分たちで優勝を決められず、複雑な表情を浮かべていた。こうして両者痛み分けの形の決着が付いた。
(記事提供:PERFORM/ePlayer)
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