なぜ反日的な行動をするのか?
実際の市井の人々はどのような思いを抱いているのだろうか。中国での数日間、私は様々な人たちと接した。ホテルの従業員、両替で利用した銀行の職員、飲食店員、タクシー運転手など。
彼らから敵意を感じたことは一度もない。中国語の分からない私にもお構いなしに早口で話してきたが、「分からない」と伝えると身振り手振りで必死で教えようとし、時には英語のできるスタッフを呼んでくれた。
タクシー運転手が話せる英語は「TAXI」だけだったが、こちらが地図を見せ、行き先を漢字で教えると、にっこり笑って目的地まで運んでくれた。ぼったくられることも、迷うこともなかった。
たまたま入った武漢市民主街の居酒屋「民意■■」の店主は、私たちを見つけるや唐突に相席し、私が日本人だと分かると彼は熱っぽく話し出した。(※■■は火+考と虫+下)
「中国と日本は歴史的には色々あったよ。でも、俺たちの時代には関係ない。本当は反日なんてないんだよ。『日本を嫌いだ』と言う奴らは自分を強く見せたいだけ。スタジアムでもそうさ。強がっているだけ。政治のことは俺たちには関係ないからね。
なあ、ションディー(兄弟の意)。俺は、日本人のお前が中国に、武漢に、そして俺の店に来てくれたことがとてつもなく嬉しいよ。また来てくれよ、そして武漢で困ったことがあればいつでも電話してくれ。俺たちは今からションディーだ」
店主の言葉に何か胸のつかえが下りたような気分になった。まったく反日的ではない武漢の人々の気持ちが、語られているように感じた。もちろん、彼の意見は全体のごく一部だ。記者2人も「私たちは中国を代表しているわけではない」と語る。
深く理解するには、もっとたくさんの人と接しなければならないし、時間もかかる。だが、少なくとも私が数日間で見て、聞いて、感じた限りでは、反日感情が強いとは思わなかった。
もしあなたが印象論だけで「中国は反日的で怖い、嫌だ」という印象を持っているなら、少しだけ考えて欲しい。中国人のあなた自身を嫌いではないし、中国に行ってもあなたがブーイングされることはない。
(翻訳協力:クリストファー・アトキンス)
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