若いチームを支えるベテラン
ヴェルディのDNAが凝縮された創造力あふれる攻撃が守備陣を鍛え、体を張った守備陣を上回らんとする攻撃陣のアイデアや創意工夫がさらに磨かれていく。
選手たちの「自主性」を尊重して、クラブの原点回帰に立って指導してきた冨樫監督のもとで理想的な相乗効果が生まれ、なおかつ現在進行形で攻撃も守備も成長している。その過程で達成された4連勝であり、3位浮上であったわけだ。
「子どものころからヴェルディでずっと一緒にプレーしてきている選手が多いし、その意味ではやりやすさがあるんだろうね。僕たちもそのことをわかっているから、必要なときには『ヴェルディが目指すのはこういうサッカーなんだよ』とアドバイスしている。方向性にずれはないし、もっともっとよくなると思うよ」
冨樫監督と同時期にヴェルディでプレーし、昨シーズン途中に3度目の復帰を果たしたチーム最年長の44歳、MF永井秀樹が目を細めれば、ボランチでいぶし銀の輝きを放ちながら攻守のバランスを司る33歳の中後は「失っていた自信を取り戻しつつある」とこう続いた。
「去年までなかなか勝てなかっただけに、勝つ喜びや楽しさ、もっと勝ちたいという気持ちが、若い選手たちのなかに芽生えてきていると思う。テクニックの高さは見ての通りですから。勝ちを経験するなかでいろいろなことを吸収できていることが、ここにきてプラスにはたらいているのかなと」
カマタマーレ戦後にメディアへ対応しているときに、後半アディショナルタイムの失点でセレッソ大阪が愛媛FCに逆転負けを喫した一報が飛び込んできた。ジュビロ磐田とセレッソが争ってきた2位争いに割り込んだ興奮からか。高木大はさらに言葉を弾ませた。
「ここまできたら、絶対にJ1へ行きたい。僕たちが勝つことで常にプレッシャーをかけていけば、相手も嫌だと思うので」