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Jリーグ 9年前

東京V、悲願のJ1昇格へ――。冨樫監督が掲げた2ヶ条の哲学と“緑の血”が受け継ぐDNA

text by 藤江直人 photo by Getty Images

2.「トレーニングの内容と育成」

 ふたつ目が、冒頭でも標したトレーニング内容だ。

 今シーズンの開幕へ向けたトレーニングでもっとも力を入れた点を、冨樫監督は「やはりゴールを奪うところですね」とこう振り返る。

「昨シーズンは勝ち点を1でも積み上げていかないと苦しくなっていきましたけど、勝ち点3を手にするためには、ゴールを奪わなければいけませんよね。いい守備から入っていくことはもちろん必要ですけど、ボールを奪った後にどのようにして攻撃していくのかという点で、昨シーズンは彼らがもっている力を上手く出せていなかったと思うんです。

 順位や戦術も影響していたかもしれませんけど、僕としては選手たちのベストの組み合わせを見出していくことが大事だと考えました。誰がプレーしても同じサッカーになるのではなく、別の選手が出れば違った形での強さを出していけばチームは成り立つと」

 2対0でカマタマーレ讃岐を下し、連勝を「4」に伸ばした8月1日の第27節。ベンチ入りした18人のメンバーのうち11人を育成組織出身者が占め、そのうち6人が先発。交代で途中出場した3人も全員が育成出身の選手だった。

 読売クラブ時代から、育成組織は重要視されてきた。幾度となく経営危機に直面してきても、ユース以下の育成組織は「聖域」として位置づけられ、いま現在に至っている。

 その一貫した育成方針を、自身も学んできた冨樫監督はこう説明する。

「ゴールを意識しながらボールを大事にするプレーを、僕たちは小学生のころから実践してきました。たとえば引かれたチームをどのようにして崩すのかなど、ずっと積み重ねられてきたものがあるんです」

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