1.「じゃまにならないこと」
ひとつ目は、選手たちの「じゃま」にならないことだ。
「サッカーという競技においては、どのチームでも選手たちが主役だと思うんですよ。いくら素晴らしい指導をしても選手たちが動かなければ意味がないし、逆に選手たちが動いてくれれば僕みたいに何もしない監督でも勝てる。
当然のことですけど、ピッチでプレーするのは選手たちです。まずは思い切ってプレーしてもらって、そのうえで上手くいっていないときにはどうするのか、上手くいっているときにさらに積み重ねていくにはどうするのか、という感じですね」
Jリーグの黎明期においてまばゆい輝きを放った黄金時代、もっとさかのぼればアマチュア全盛の日本リーグをけん引した前身の読売クラブ時代の記憶が蘇ってくる。
「キックオフの笛が鳴れば、監督はもう関係ない。オレたちの自由だ」
こう豪語していたのは司令塔のラモス瑠偉(現FC岐阜監督)だ。卓越した個人技をもった選手たちがピッチで強烈な個性をギラギラと発揮し、全員が主役であることを自負し、もちろん勝利へ向けて一丸となっていたからこそ、読売クラブとヴェルディは日本のサッカー史に一時代を刻んだ。
13歳から読売クラブの育成組織で心技体を磨き、黄金期のヴェルディでプレーしている冨樫監督にも同じDNAが宿っている。選手たちの自主性を引き出すためにも、指揮官は「じゃまにならない」ことを常に意識していると力を込める。
「トレーニングの段階から、選手に考える余地を与えるようにしています。サッカーにはミスがつきものなので、たとえミスをしてもいいからとにかく選手たちが主体となってプレーをすることを自分のなかではもっとも大事にしています。あくまでも、僕が選手たちのじゃまをすることのないようにして」
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