決定力不足は言い訳にならない試合
負けて当然の試合だった。武藤が早々に先制したのは良かったが、その後は北朝鮮がボールを支配した。北朝鮮は後半から浮き球を多用する攻撃に的を絞り、長身のパク・ヒョンイルを投入すると、いずれもハイボールから2点を奪って逆転している。
確かに日本にも決定機はあった。前後半に4回ずつぐらいあったうちの2つを決めていれば勝っていた。しかし、チャンスを決められなかった時点で日本のプランはダメだったということになる。
日本は堅守速攻型のプランでスタートしている。川又、武藤、宇佐美、永井のアタッカー4人はカウンターからの得点を期待されている人選だ。北朝鮮にボールを支配されたのは、早く先制したことやコンディションの問題もあるが、編成自体がカウンターを前提にしたものだったからだ。だからボールを持たれたのは大した問題ではない。
ただし、それは堅守速攻プランが上手くいっていればの話である。
縦に速い攻め込みを狙う以上、ボールは相手に支配されやすくなる。速く攻めれば速く失うからだ。相手に支配されれば必然的に攻撃回数も少ない。それでも速く攻め込めばアタッカーは個人技を発揮しやすい。細かいコンビネーションなしでも点をとれるというメリットもある。つまり、アタッカーが決定機に強い、スペースさえあれば個で点をとれることが、このやり方を採用する条件の1つなのだ。
「何回か決定機がありましたが決められませんでした」。これは言い訳にならない。
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