スタメン奪取に必要な“ゴール”
攻撃のメカニズムは理解し、連係は取れてきている印象だ。例えば、レアル・マドリー戦後半28分のプレー。左サイドに寄ってボールを受けた本田は、2枚先のバッカに正確な縦パスを通した。前線でボールをキープしたバッカは、後方から走りこんだホセ・マウリにパスを出し、マウリはミドルシュートを放った。
サイドに落ちてパスを引き出し、縦に抜けるFWを狙う。そして自らが開けた前線のスペースには、左インサイドMFのマウリが飛び込んだ。3、4人の連動した動きで崩すという形が定着してくれば、本田はなお活きてくるはずである。
スペースへ走ってくれるバッカに、前線でボールを正確に受けて返してくれるルイス・アドリアーノと、連係の取りやすいFWもやっと加入した。これも本田の助けになるだろう。
しかしその上でやはり、自らもゴールを脅かすような怖さも必要となるのではないだろうか。ハードワークをしつつゴールへ向かうというのは大変な作業で、走ればそれだけ足に疲労も蓄積し、ゴール前での精度が削られる。
そこで雑なプレーをしたり、ゴール前に走りこめなかったりすると、やはりスピードがあって走れるボナベントゥーラの方が良いのでは、という選択になり得る。
戦術に沿ってハードワークをこなしながら、どこまでプレーの精度を保ってゴールへ近づくことが出来るか。定位置奪取のアピールポイントはそこであると見る。
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