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アジア 9年前

レアル対マンCに9万人。国外チームが“大箱”を埋める豪州サッカーの危機感。世界基準へ必要なこと

text by 植松久隆 photo by Getty Images

マーケティング、気候…豪州に妙味を見出す欧州サッカー

 しかし、自国絡みのコンテンツでは埋まらないスタジアムが、欧州のクラブの試合では簡単に埋まる。その現実を前に「人気のレベルが違うから」と諦め顔でいるだけでは、この国のサッカー界に明るい未来はない。

 豪州のチームや選手が直接的に関わらない試合が、いとも簡単に自国の象徴的なスタジアムであるMCGの観客動員数レコードを塗り替える現実にこそ、豪州サッカー界は危機感を持たねばならない。

 それにしても、なぜ、欧州のビッグクラブは“豪州詣”を続けるのだろうか。人口はさほどでもないものの、英国系など潜在的にサッカーに親和性の高い集団が多いこの国にマーケティング的な妙味を見出しているということも、もちろん大きな理由だ。

 しかし、決してそればかりではない。6月から7月にかけての豪州は、冬、真っ盛り。とはいっても、マンチェスターCがキャンプを張ったゴールドコーストは、欧州の厳しい冬を知る選手からすれば、冬とは思えないほどのマイルドな気候だった。

 ICCが行われたメルボルンも豪州基準ではかなり寒い地域だが、欧州基準ではさほどでもなかったろう。豪州は欧州のクラブにとっては、酷暑を避けられる“避暑地”としての気候的なメリットが大きい。

 そんなこともあって、欧州のクラブがオフ明けの新体制を始動させるのに季節が真逆のこの時期をとらえて豪州に遠征してくるのは、ここ数年のトレンドになっており、その傾向はしばらく続くだろう。

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