不安抱えるCF陣
同じく、頼れるストライカーがルーニーしかいない最前線も気掛かりだ。プレシーズン中にトップ下で試されたデパイとの相性は良さそうだが、例年のルーニーは怪我との付き合いも余儀なくされる。補強ターゲットと思われたエディンソン・カバーニは、ここに来て本人がPSG残留を仄めかす発言。トーマス・ミュラーはバイエルンが放出拒否の構えを崩していない。
秒読みとされるPSGへのアンヘル・ディ・マリア売却による移籍金収入は、新ゴールゲッターではなく、前線に「スピードと創造性が足らない」という指揮官の発言を受けて、ペドロ・ロドリゲス(バルセロナ)やニコラス・ガイタン(ベンフィカ)の獲得に回されるとも見られる。
頭数的には、構想外だったハビエル・エルナンデスの売却を止め、若いアドナン・ヤヌザイをFWとして使う手はある。チームを去ったロビン・ファン・ペルシー(現フェネルバフチェ)とラダメル・ファルカオ(現チェルシー)は、大物だが昨季プレミアでは計14得点で数字的な大打撃ではない。
とはいえ、得点数が昨季トップ4唯一の60点台で最低だったユナイテッドが優勝を狙うには得点力アップも必要。しかも今季はチャンピオンズリーグ(CL)との両立も強いられるのだからルーニーへの依存度の高さが心配だ。
もちろん、移籍市場は9月1日まで開いている。カバーニやミュラーの獲得があり得ないわけでもない。しかし、更なる補強の可能性はチェルシー、マンチェスター・シティ、アーセナルの昨季トップ3にも残されている。守護神の残留と新CFの加入がなければ、積極補強2年目のユナイテッドは優勝候補ではあっても「有力候補」ではない。
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