去就が不透明なGKデ・ヘア
その後方では、昨季途中でラファエウが監督の信頼を失った右SBにダルミアンが買い入れられた。トリノから移籍したイタリア代表レギュラーは、北米でのプレシーズン初戦から攻守にノンストップのプレー。逆サイドではルーク・ショーが、トレーナー同伴でオフを過ごした努力の成果として、調整不足で出遅れた昨夏が嘘のような姿を見せている。
CB補強は、マドリー移籍が噂されるダビド・デ・ヘアと交換で獲得を狙っていたセルヒオ・ラモスが、新契約締結で残留発表を残すのみとの知らせがスペインから伝わってきた。それでも、左には昨季新戦力のマルコス・ロホかマルチロールのブリント、右には元々ファン・ハールが使って育てる考えを持っているフィル・ジョーンズかクリス・スモーリングというCBコンビは、手前のボランチが強化されたことを考えれば悪くはない。
反面、デ・ヘアの去就問題に振り回されているGK事情は不安だ。当初は、現契約が満了する来夏に移籍金なしで手放すことを覚悟の上で残留を強いると思われた。クラブには最低2800万ポンド(約53億円)と言われる移籍金収入を逃しても絶えられる金銭的な体力がある。
しかし、プレシーズンでのデ・ヘア起用は4試合中2試合で計108分のみ。前半だけで交代した最終戦後にはファン・ハールが「本人は移籍を望んでいる。チームにとっても好ましくない状況だ」とこぼし、残留強要を諦めかけている様子も窺えた。
離脱に備えてセルヒオ・ロメロを7月27日に獲得しているが、サンプドリアで不要とされたアルゼンチン代表は、欧州トップレベルでは実績なしに等しい。実績あるビクトル・バルデスは指揮官との確執で放出対象。昨季はチームのベストプレーヤーがいたGKの戦力は、贔屓目に見ても未知数となりつつある。
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