ライバルは南米王者チリの正GKブラーボ
象徴的だったシーンがある。32分を回るころ、ハーフウェーラインを越えていた最終ラインが1本のパスで破られ、D・コスタとGKが1対1の局面を迎える。飛び出してもいい場面だったが、テア・シュテーゲンはシュートコースを切って構え、最後まで動かずに相手のミスを誘ってピンチをしのいだ。安易に飛び出していたら1点を失っていたかもしれない。
直後の37分、運よくオフサイドにはなったが、アザールに浅いラインの裏を突かれた場面ではDFのすぐ後ろまでテア・シュテーゲンが出てきていた。次のプレーをイメージした読みの鋭さもバルサに入って研ぎ澄まされている。44分にも同じように1本のパスでディフェンスラインを破られたが、ピンチにならなかったのは若き守護神の素早い判断と勇気ある飛び出しがあったからだ。
テア・シュテーゲンは60分過ぎに交代となったが、非常に安定した高クオリティのパフォーマンスでバルサの正守護神にふさわしい実力が備わっていることを示した。
途中からピッチに立ったジョルディ・マシップは彼に遠く及ばない。85分のチェルシーの得点シーン、クロスボールに対してマシップは飛び出しかけたものの、躊躇して一度止まってしまった。この一瞬の遅れがDFの判断にも影響し、失点につながってしまったのは疑いようのない事実だ。
しかし合流が遅れているブラーボは今季も自分がバルサの正GKだと信じて疑わない。スポルト紙に対して「もし僕が(ポジション争いを)不安に思っていたら、飛行機に乗って早めにプレシーズンに合流していただろう。だがそんなことはない。自分のキャラクターはよくわかっているし、何をしなければならないかも理解している」と自信たっぷりにコメントを残している。