不安定な最終ラインを完璧にカバー
ICCのマンチェスター・ユナイテッド戦翌日に行われた記者会見では自身の起用法に関して「誰もがリーガやCLでプレーしたいと思うが、僕が決めることではない。監督が決めるんだ。僕はもっと長い時間プレーしたいし、すべての大会で出場するために全力を尽くしている」と語り、今季に懸ける強い思いを感じさせた。
一方で「ブラーボと役割を入れ替えるということではない。昨季の彼は素晴らしかった。今年はどうなるかわからない」と、自分があくまで挑戦者であると強調している。その証拠に、シーズン終了後に行われたU-21欧州選手権に参加した後、オフを早く切り上げて他の選手たちと同じタイミングでチームに合流した。
「(早く合流する)僕の決断は正しかった。なぜなら休む時間は確保できたし、いまはフィットしていると感じるからね」と述べたテア・シュテーゲンは、ライバルより20日以上多くチームとトレーニングを積んでいる現状に手ごたえを感じている。
その感覚はチェルシー戦で証明された。前半開始早々の3分、セスク・ファブレガスのFKにクルト・ズマが完璧なタイミングで飛び込むが、至近距離からのヘディングシュートをテア・シュテーゲンが鋭い反応で阻止する。
アザールにゴールを奪われた場面はノーチャンスだったが、クロスに対する飛び出し、シュートセービング、不安定なバルトラとマテューのカバーリング…あらゆるプレーで非常に高いクオリティを証明した。
DFが最終ラインを上げるタイミングで一定の距離を保ちながら自分もポジションを上げ、ペナルティエリア外に出ることもいとわない。飛び出すか、飛び出さないかの判断も抜群で、最終ラインの後ろを広範囲にわたってカバーしていたのはテア・シュテーゲンだった。
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