「リーグでプレーしたい」。不動の正GKを狙うテア・シュテーゲン
バルサの選手たちは、おそらく主力組と控え組の差に悩んでいることだろう。特にこの日先発したDF陣は不安定という言葉でしか表現できないほどひどい出来だった。右SBに入ったドウグラスは開始早々に負傷してセルジ・ロベルトと交代を余儀なくされ、左SBのアドリアーノも若いケネディの対応に苦慮する姿が目についた。
そして極めつけはCBの2人だ。マルク・バルトラとジェレミー・マテューは大きなミスを連発し、長いパス1本で簡単に決定機を作られるなど散々な内容だった。中盤でプレスがかかっていないにも関わらず安易に最終ラインを上げて裏を取られたり、振り切られそうになると無駄なファウルでセットプレーを与えたり、とても欧州No.1クラブの主力とは思えないパフォーマンスに終始していた。
後半途中からジェラール・ピケとトーマス・ヴェルメーレンのコンビに交代すると、そういった不安定な部分が修正され、名手ラダメル・ファルカオを封じるなどさすがの風格を見せつけている。
そんな中、新シーズンに向けて闘志を燃やす1人の男が溌剌としたプレーで指揮官にアピールした。在籍2年目を迎えたドイツ代表GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンだ。
昨季はチリ代表のクラウディオ・ブラーボと定位置を争い、リーグ戦の出場機会こそ譲ったもののチャンピオンズリーグ(CL)とコパ・デル・レイで起用され、“カップ戦専用GK”として2つのタイトル獲得に大きく貢献した。瞬く間にバルサのスタイルに順応したテア・シュテーゲンの活躍がなければ欧州王者の座は違うチームのものになっていただろう。
しかし、そんな状況に満足はしておらず、今年2月には「練習と試合で良いパフォーマンスを見せている。常にチームのためにベストを尽くしている。ブラーボも良い仕事をしているが、僕はリーグでプレーしたい」と語るなど、起用法に不満をのぞかせていた。
それでも腐らず努力を続けた23歳は、精神面でも大きく成長を遂げたようだ。今季は挑戦者として、新たな気持ちでプレシーズンに臨んでいる。