被害を受ける中小クラブ
そもそも、この新案がなぜ投資家たちのリスクを軽減することにつながるのかだが、ここ数年フランスも経済危機の状況にあり、パリ・サンジェルマン(PSG)を除いては、スポンサーやパートナーに名乗りをあげる企業は激減している。
AFP通信の報道では、リーグ1は毎年総計でおよそ60億ユーロ(810億円)の売り上げがあるとのことだが、そのうちの3分の2はPSGによってもたらされているものだというから、残りの19クラブの懐事情も察しがつく。
現に、リーグ1所属のバスティアは資金不足を財政管理委員会に指摘され、事実上今季のリーグ1参戦を禁じられている状況にある。
LFPとしては、投資家やスポンサーたちをクラブ経営により積極的に参画させたいが、そのためには彼らが損失する要素ができるだけ少ない方が好ましい。
リーグ1とリーグ2では、テレビ放映権からの収入だけでも1ケタ違うのだから、一気に経営は苦しくなる。降格クラブが3から2に減れば、そのリスクも単純に3分の2に軽減できる、ということだ。
賛成派であるボルドーのジャン・ルイ・トリオー会長も「リーグ1とリーグ2を行ったり来たりするような状況は、もっとも金銭面で負債を生む要因になる。その憂き目に合うクラブの数を減らすことは理にかなっている」と新案の重要性を語る。
しかしそれは、ボルドーのように降格に危機にあう可能性が極めて低いクラブだから言えることだともいえる。
リーグ1では、欧州カップ出場権争いに絡むのは最大8クラブあたりに絞られている。その他のクラブには、多かれ少なかれ降格・昇格のアップダウンに関わる可能性があるから、他人事ではないクラブがほとんどだ。
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