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ジュニサカ 9年前

受験化するサッカー。伝統ある町クラブから見る小・中学生の理想像とは

text by 木之下潤 photo by junior soccer editorial staff

他クラブへの移籍を“裏切り”と捉えてしまう環境

 うちの選手はサッカー偏差値30の子もいれば、60の子もいる。指導者の責任は、30→35に、60→65にすることでしょう。多くのクラブは55前後の選手をとって最終的に50にして卒業させています。上手な選手にだけ注目するのでなく、どんな子でも入団したときよりも能力を上げてあげるのが選手をリスペクトした指導なんじゃないですか。

――Jのアカデミーをはじめ、強豪クラブがありますが、上のカテゴリーに上がれずに退団した子はどうしているのか?

 うちに所属していた子は戻ってきたりしています。ただ現状は、どこのクラブも戻ってくる態勢はあまりできてません。ある意味、他のクラブへ移籍することを裏切り行為として捉えているところは否めない。

 あるクラブでは小学校5年生で入るときに「中学校3年生まで続けます」と念書を書かせてる。定着率は上がるけど、「退団したらどうすんの?」って。もうサッカーを止めるしかない。だから、選択の余地を狭めるのはどうかと思います。

――ここ4~5年でセレクションをするクラブは増えていますよね。

 確かにそうですね。でも、それはクラブ経営がしっかりしてきたことも一因ですね。NPO法人にしたり、プロの指導者が指導する体制が整ったり。そして、サッカー人口が増えたのが大きく影響している。一学年に100人の選手が入団しても面倒を見れないでしょ。だから、セレクションを行う現状もあります。

――受け皿としての考えは少ないのが悲しいですね。関西クラブユース連盟の会長としてサッカーの進路について各クラブと話をされないのですか?

 その件についてはやれないですね。クラブの経営方針やから連盟の立場でコメントするのは越権行為やと思います。でも、飲みの席で個人的に「ええ加減にせえよ」とは言ったりしますよ。

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