アジアの金満リーグの飼育場となりつつある日本
人気リーグに関する持論を簡潔化すると、リーグには人気のある選手が必要であるということだ。すなわち、ピッチ内外の両方で堂々とし、メディアやファンの間で話題になるような魅力と娯楽性がある選手の存在である。
この種の選手はJリーグから失われつつあり、大きな懸案事項になりかねない。
ベテラン選手が無条件で愛される一方、日本の人気選手はさらに2つのカテゴリーに分けられる。それは地元の若手選手か、試合で違いをもたらす外国人選手である。
過去5年ほどを振り返れば、日本のメディアは、香川真司、柿谷曜一朗、武藤嘉紀の3人の元Jリーガーを中心に報道してきた。彼らの輝かしいプレーと端正な顔立ちは、サッカー界を席巻するだけではなく、国内サッカーの成長に必要とされる大衆文化にも影響を与えた。
彼らはとても人気はあるが、もはやJリーグでプレーしていない。そして、正にこれらの3選手のように、次世代の日本人スターがJリーグのスポットライトの下で1、2シーズンをプレーし、欧州のクラブに引き抜かれていくことになる。
これに加え、もうひとつ気にかかる傾向が表面化してきた。中東のクラブ及び現在は中国のクラブでさえ、Jリーグでベストな外国人選手を経済的に強奪できる力をもつようになってきた。我々は先週の“多摩川クラシコ”でレナトの鮮やかなFKに驚いたばかりだが、彼はすでに中国リーグの下位クラブに飛び立ってしまった。
私には誰もこの移籍に関する議論をしていないように思えるのだが、Jリーグは武藤もレナトもおらず、“お金を払って観る価値のある選手”が少ない貧弱なリーグになってしまったのだ。
国内クラブの経済力では、トッププレーヤーを留めておくことができず、Jリーグは言わば欧州だけではなくアジアの金満リーグの飼育場になっている。
これはJリーグ崩壊の始まりだろうか? それを阻止するためにも、対応策が必要であることは間違いない。