痛手だが、ビジネスとしては成功か?
「引きとめようとはしたのだが、時間がなかったというのがある。彼の中でどういう国なのか、Cリーグがどういうものなのか、どういう環境なのか、行くチームがどういうスタイルなのかというのはなかった。条件だけ。そこが一番だったので、どうしようもない」(庄子強化本部長)
サッカー選手の寿命は決して長いものではない。その中で自身の価値を数字として評価してくれるクラブに身を委ねるというのは全く間違っている選択ではないし、これを持ってレナトが持つ川崎へのクラブ愛を「小さい」と言い切ることはできない。
それに、クラブとしても「片手では収まらない」(チーム関係者談)額の違約金を手に入れられたことは大きく、1つのビジネスとして考えれば成功と言えるかもしれない。
だがその一方で、先にも述べたように“悲願”であるタイトルを目指す上での貴重な戦力を失ったことは事実。このレナトの売却を「成功だった」と断言するためにはタイトルを取る他ない。
これを成し得れば、莫大な資金とクラブ史上初タイトルの両方を手にできたことになるのだから、文句は出ないだろう(もちろん、この優勝をレナトと味わいたかった、という一抹の寂しさもよぎるだろうが……)。
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