「学ぶ」姿勢がほかの子よりも優れていた
コンサドーレ札幌でもプレーした、ロナウジーニョの兄・アシス・モレイラ氏。同氏は、稀代のファンタジスタが、プロの世界に足を踏み入れるまでの軌跡を誰よりも知る人物だ。
現在はロナウジーニョの代理人として、またブラジル南部に位置するポルト・アレグレのクラブオーナーとしてサッカー界に携わっている。そんな実兄の発言からロナウジーニョの原点、未来、日本との関わり方を探る。
30代後半を迎えても常に笑顔を絶やさず、誰よりもサッカーの楽しさをピッチで表現するロナウジーニョ。選手として一時代を築き、世界最高のフットボーラーの名をほしいままにした男に、最も大きな影響を与えたのは実の兄であるアシス氏である。
8歳のときに父親を亡くしたロナウジーニョにとって、プロ選手として家族の生活を支える兄はヒーローであり、父親の代わりでもあった。名門グレミオでプレーし、U-14~21まですべてのカテゴリーでブラジル代表に選出されていたアシス氏は、幼いロナウジーニョの目標となった。
近所の子どもたちに交じり、ストリートサッカーやフットサルに興じたロナウジーニョは、兄の技術を見よう見まねで学んだ。「彼は才能に恵まれていたが、ブラジル人でも生まれながらにテクニックを持った選手はいない」というアシス氏は、かつてインタビューでロナウジーニョの幼少期についてこう話している。
「彼が優れているのは、『学ぼう』という本格的な欲求がとても強かったことなんだ。クラブの下部組織にいる年代で、もっとも大切なのはその学ぶという姿勢なんだ。そして日々、テクニック、フィジカル面、すべての点において上を目指すということだ。
その点、彼には生まれついた才能があった。したがってほかの子どもよりも少ない時間で多くのことを学ぶことができたのだ」