責任のなすりつけ合いか。求められるリーダーシップ
新国立競技場は果たして…【写真：Getty Images】
同競技場のデザイン競技時の予算は1300億円で、基本設計に基づく概算工事費は1625億円。ここまでは安藤氏も「コストを抑える調整を行うことが可能」としているが、「私はね、（当初予定の）1300億円で大丈夫かなと思った。こんなに大きいもの、私は作ったことないですからね（笑）。私が関わったのはデザインまで」とも語っている。
今後はどのようにコストダウンしつつ質を維持するかが重要になってくる。とはいえ大きな不安が残る。安藤氏の発言からは最優先されるべきは五輪と読み取れるが、安藤氏とJSCはともに「ラグビーW杯に間に合わせる」と2019年の同大会の開催に合わせた工期を設定する見解を示した。
また、下村博文・文部科学大臣は先ごろ「値段とデザインを別にするのは、ずさん。なぜザハ案なのか、発言して欲しい」と説明を求めた。それに対し安藤氏は「JSCの強いリーダーシップのもと一丸となり未来に受け継がれるべき新国立競技場が完成することを願う」としたが、JSC河野理事長は「責任が端的にどこにあるというのは難しい。もちろんJSCもその一部ではあるが、すべての責任を負えるものではない」と語った。
責任のなすりつけ合いのようにも聞こえる。自治体や施工者などが一丸となって進めるためには、まずはこじれた事態を紐解く必要があり、リーダーが誰であるか明確にし、正しい道に導かなくてはならない。船頭多くして船山に登ると言うが、船頭なしではどこにも進まない。混迷は続く。
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