長友は練習試合でも主力組には入らず
もっとも、長友はそのサントンよりも使われていなかった。ただし彼の場合、昨季後半は肉離れによる長期離脱が影響していた。故障が癒え、コンディションが良くなった終盤ではそれなりに使われているので、「まるっきり使えない」とマンチーニが考えていたわけではあるまい。ただそれは「ベストの選択」というわけでもなかったようである。
実際、インテルはズカノビッチの獲得に動いた。左利き、かつ190cm80kgと長身で大柄。守備にもきちんと比重を置ける選手であり、こういったタイプは現有のサイドバックには確かに存在していなかった。結局移籍交渉は頓挫したが、ファン・ジェズスをコンバートした経緯を考えても、右の攻撃的なSBの対となるにはこういう人選を理想としていることがわかる。
新シーズンに向けての合宿がスタートし、練習を通してもそのあたりの思惑は透けて見える。マンチーニ監督はこの1週間でポジション別の戦術練習を重点的に行ったが、DFラインに関しては2グループに分けられている。一方はモントーヤとアンドレア・ラノッキア、ファン・ジェズスに下部組織上がりで左利きのフェデリコ・ディ・マルコ。そして、ファン・ジェズスが左SBに入ることもあった。
もちろん練習内容はどちらも同一であり、マンチーニ監督もシルビーニョコーチと交互に2グループを指導する。ただここまで、主力のグループに長友が入ったことはなかった。
11日の練習試合、シュトゥットガルト・キッカーズの練習試合でもその傾向は如実に現れていた。
マウロ・イカルディやロドリゴ・パラシオらの主力が出場した前半、DFラインはモントーヤ、ラノッキア、ファン・ジェズスにダンブロージオが入るという構成。一方長友は、メンバーの多くが若手に切り替わった後半1分からの出場となる。左SBにはサントン、長友は右に回されていた。