ラニエリ就任は岡崎に追い風?
ただし、岡崎にとっては悪い人選ではないように思える。日本代表FWにとっての最悪のシナリオは、アラーダイスのような「1トップ好き」が新監督となることだっただろう。早めにボールを当てるためのCFとしては、昨季リーグ戦11得点のウジョアが必要条件となるフィジカルで岡崎に勝る。
クラブのフロントは、後任監督を探す傍らでチャーリー・オースティン獲得も画策していた。チャンス供給の乏しかったQPRのターゲットマンとして昨季18得点の競争相手が加われば、1トップ争いは更に分が悪い。
その点、ラニエリは良く言えば戦術的に柔軟だ。昨季のレスターがラスト9試合で7勝という猛ダッシュで降格圏を脱出した際の基本システムだった、3-5-2の継続を考えても不思議はない。3バックは15年前に就任したチェルシーでも採用に積極的だった経緯がある。
そして、前線が2トップであれば岡崎の定位置獲りに希望が生まれる。昨季後半はウジョアとバーディーが正コンビを組んでいたが、ジェイミー・バーディーは実質的にアウトサイドやトップ下にポジションを取っていることが多かった。デイビッド・ニュージェントも、最も評価できるのは2トップの背後に入った際の連携だった。
この両者に対し、岡崎はストライカーとしての決定力で勝る。もう1名、「9.5」番風のクラマリッチがいるが、今年1月加入後の昨季は2得点のみ。監督交代もあり、少なくとも同じスタートラインからポジション争いを挑める相手だ。
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