監督決まらず、「混沌」状態だったレスター
レスター・シティの新監督に就任したクラウディオ・ラニエリ【写真:Getty Images】
岡崎慎司のレスター入りから約3週間が過ぎた。当人を取り巻くその間の状況を一言で表現すれば「混沌」になるだろう。移籍から1週間足らずで、1年越しの獲得努力でプレミアリーグ挑戦の「夢」を叶えてくれたナイジェル・ピアソンが監督の職を追われたのだ。
しかも、後任人事は白紙の状態だった。噂の後任候補は、フース・ヒディンク(前オランダ代表)、サム・アラーダイス(前ウェストハム)、クラウディオ・ラニエリ(前ギリシャ代表)、マーティン・オニール(現アイルランド代表)、ユルゲン・クロップ(前ドルトムント)、ニール・レノン(現ボルトン)という具合に、老若男女ならぬ“老若攻守”とも言うべきバラエティ。来季に向けての方向性を推し量ることは難しかった。
この先行き不透明は、レスターが確立されたスタイルを持つチームではない弊害とも言える。ピアソン前体制は攻撃姿勢を前面に打ち出そうとしていた。しかし2000年までの5年間で、2度のリーグカップ優勝を含むクラブ近代史上の最盛期となったオニール時代は堅守速攻を得意とした。
最終的には、7月13日に3年契約でのラニエリ就任が発表された。新監督決定後も不透明感が残る人事だ。チェルシーでの4年間というプレミア経験はある。ユベントス、ローマ、インテルといった欧州強豪の指揮官として名も通ってはいる。だが、ラニエリには明確なスタイルがない。クラブレベルでの前任地モナコでは「スタイル優先」を口にしていたが、自称「タフな元DF」のイタリア人監督は基本的には堅守好きだ。
チェルシー時代には、メディアで「ティンカーマン(腕の悪い職人)」と呼ばれた。不必要に戦術やシステムを変えたがる性分に由来するニックネームだ。