ひとりでマドリー退団会見に現れたカシージャス
2015年7月11日22時22分、レアル・マドリーは、イケル・カシージャスのFCポルトへの移籍を公式に発表した。その翌日、カシージャスは約50ものメディアを前に、たった一人でカメラの前に立った。
マドリード州郊外のモストレスで育った少年は、9才でマドリーのユースに入団し、それから25年が過ぎた今、一人寂しく裏門からマドリーを出て行くことになった。
カシージャスが一人で記者会見に現れたのは、本人の要望だった。彼の隣には、クラブの会長もフロントも強化担当も誰も同席しなかった。チームメートはいたくても、いることができなかった。彼が記者会見を開く2時間前に、マドリーのトップチームはプレシーズンを行なうオーストラリア行きの飛行機に乗り込んでいたのだ。
比較というのが、おぞましいものだとはわかっている。だが、同じように今季バルセロナを去ったシャビ・エルナンデスの最後の記者会見を思い出さずにいるのは不可能だった。
会長からのスピーチ、チームメート、アンドレス・イニエスタからの謝辞を舞台上で受け、クラブが作成したビデオには、サポーターも含め、今までありがとうと様々な声が収められ、会場には現在のチームメートやクラブのフロントはもちろん、元チームメート、元強化担当、元クラブフロント、家族、友人などがずらりと顔を揃えた。
一人の偉大な選手が、自分のキャリアに一つの区切りをつけるというのが、いかに難しいことかを今回のカシージャスを見て、改めて考えざるを得なかった。