ポゼッション型チームの生きる道とは?
ボールを持っているほうが「持たされている」と感じるかどうかは、そのチームが点をとれる自信があるかどうかで異なる。得点のアイデアが何も浮かんでこないのなら、確かにパスがつながっているだけで「持たされている」と思わざるをえない。ところが、最終的には崩せるし点もとれる、そのためのアイデアも持っている、そういうチームなら「隙をうかがっている」あるいは「得点の準備をしている」と考えるだけで、さほど「持たされている」というネガティブなとらえ方はしない。
ポゼッション型の代表であるメキシコを例にあげてみたい。
メキシコは毎回ワールドカップでグループリーグは突破するが、なかなかそこから上へ行けない。ただ、ボールポゼッションに関しては、スペイン、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、オランダといった強豪国にもひけをとらない力を持っている。スーパースターはいないし、特別にフィジカルが強いわけでもない、体も大きいほうではない。そのために日本がお手本にすべきチームだとよく言われてきたものだ。メキシコは、どんな相手でもたいていポゼッションでは上回る。それで必ず試合に勝てるわけではないが、パスをつなぐということに関しては一貫していてブレがない。メキシコは「ボールを持たされている」というネガティブな見方はしていないのだろう。
見た目は「持たされている」展開も多い。しかし、彼らがフィニッシュへのルートをチームとして共有しているのは明らかで、だから「持たされている」という感覚はないと思う。(続きは『フットボール批評issue06』でお楽しみください)