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ポゼッションの時代は終わったのか? トレンドに左右される日本サッカーの病

7月6日発売の『フットボール批評issue06』(カンゼン)では、「決定力不足の正体」と題した特集において、「ポゼッション」と「カウンター」の二元論に警鐘を鳴らしている。一部を抜粋して紹介する。

text by 西部謙司 photo by Getty Images

ポゼッションに正義も悪もない!

「ボールポゼッションの時代は終わった」
「これからは縦に速いサッカーだ」
「バルセロナもカウンターをやっているぞ」
「パスをつなぐだけだから日本はアジアでも勝てなくなった」

 最近、ボールポゼッションはどうも旗色が悪いようだ。一時はあんなにもてはやされたのに、人の心はうつろいやすい。たぶん数年も経たないうちに、「ろくにパスもつなげないから勝てないんだ」とか何とか言われるようになりそうだが。ボールポゼッションは正義か? これが今回のテーマだという。編集部もどこまで本気で言っているのかわからないが、いうまでもなくポゼッションは正義でも悪でもない。

ポゼッションの時代は終わったのか? トレンドに左右される日本サッカーの病
バルセロナでは3トップの攻撃力を活かす攻撃が増えた【写真:Getty Images】

 たんなる現象である。

 どっちのチームがどれぐらいの割合でボールを保持していたか。ただそれだけの数字であって、50パーセントより多いから良いとか悪いとか判断できるものですらない。一方のチームが2、3点リードしていてもう攻める気もなく守備を固めていれば、負けているほうのポゼッションは跳ね上がる。また、最初からカウンターアタックだけを狙っているようなチームにとってはポゼッションなど何の意味もない数字だ。

 普通に考えれば、ポゼッションする力はあったほうがいい。

 それをどう使うかは別にして、ないよりはあったほうがいい。パスを何本つないだところで、それだけでは得点にはならない。けれども、パスがつながらないよりも得点に結びつく可能性は増える。そもそもボールがなければ得点できない。

 よく「ボールを持たされている状態」という表現が使われるようになった。

 パスはよくつながっているけれども、なかなか崩せないしシュートも打てない、相手は守備を固めながらカウンターの機会を狙っている。そういうときに「ボールを持たされている」とネガティブなとらえ方をする。ただ、実はこれは気の持ちようなのだ。守っているほうは「ボールを持たせている」と思っているかもしれないが、相手に攻められているのは事実である。自陣に引いて守っている時間が長いと、そのぶん自陣でミスが発生しやすくなる。サッカーはミスが多発するスポーツだからだ。自陣でのミスは失点に直結しがちである。だから「ボールを持たせている」と思ったところで、決して優位な状況ではないわけだ。

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