18歳で描いた異色の作品
FC岐阜が7月12日のホーム試合・横浜FC戦で、週刊少年マガジンに連載されていた漫画『聲(こえ)の形』とコラボレーション・イベントを行うことになった。
私はFC岐阜から発表されるまで『聲の形』のことを知らなかったのだが、さっそく単行本全7巻を読んでみたところ、これが実に面白い。「面白い」とひと言では片付けられないくらい面白かった。
ということで『聲の形』の作者・大今良時さんにお話をうかがった。
――『聲の形』が『週刊少年マガジン』の新人賞に入選したということで、通常であれば作品が掲載されるわけですが編集部内でさまざまな議論が起こり、一旦は掲載が見送られましたね。少年誌としてはそれほど異色の作品だったということになるわけですが、描かれたのは大今さんがおいくつのときなんでしょう?
「18歳です。高校を卒業したあと。アルバイトを辞めて車校(自動車教習所)に行きながら……。『聲の形』を描く前に新人賞に応募する別の作品を描いていて、当時の担当さんにファックスでネーム(絵コンテ・漫画の設計図)を見せていたんですよ。その返事待ちのときにネームを描き進めていたのが『聲の形』です」
――新人賞に応募するとき、すでに担当編集者がついていたんですか?
(現在の担当編集者・小見山さん)「『聲の形』の前にもう少し小さな賞を取られていて、それで担当がついていたということです」
――ああ、そういうことなんですね。私、今回はじめて『聲の形』を単行本で読んで、ストーリーやコマ割りなどの緻密さに驚きました。それでネットで検索してみたら年齢が二十代だと。そして新人賞に応募したときにはまだ十代だった、と。ちょっと信じられませんでした。担当さんからのアドバイスもあったということなんですね?
「アドバイスはどんな漫画を描く場合でも沢山もらいます。でも新人賞の『聲の形』に関して言えば、それほど多くはなかったかも。(耳が聴こえないという)専門的な部分に寄っているお話なので、たぶん担当さんも言いづらい感じがあったと思うんですよ。
ファンタジーとかだったら『もっとこうしたら』とか言われたと思うんですけど。ただ、当時いただいたいくつかのアドバイスは、連載のときにも活かしています。たとえば西宮硝子のモノローグを入れない、気持ちを描かないというのは担当さんから言われたことで、そのとおりだなと思ったのでそのまま活かしています」