JFA小倉会長の反論にも正当性
こういった中南米サッカー協会の不正な金銭の動きについては、FIFA自体も把握していたと思われ、2013年に不正金が元FIFA会長ジョアオ・アベランジュ、その甥リカルド・テイチェイラ及びニコラス・レオスに流れたことを明記する書面がある。
つまり、ここでX氏が明かしているのは、その不正な汚職金の流れ、そのシステムが存在したことを告発しているのだ。
一方で、日本サッカー協会は、「96年に既にその招致は決まっていて、大会の準備をしていた。あり得ない」との公式発表を行なっている。この日本側の発表について、どのような見解を持っているか、記者本人に確認しようとコンタクトをとったが、現在コロンビアに滞在中であり、今回は話すことができなかった。
コロンビアという中南米サッカー協会の鍵になる場所にいるということは、何らかの取材を続けているのだろう。
小倉会長の話は実際筋が通っており、日本或いは韓国の単独開催予定だったワールドカップは、どちらが開催国になるかを決める投票が行なわれる寸前に、両国共催の形をとると96年に決定されたのだ。
その事実と2000年の送金に関連があるのか。或いは別の用途に使われたのか、それとも日本サッカー協会が言うように、実はそのような送金は存在せず何らかの誤解が生じているのか。
現時点では、まだ全て闇の中だが、いずれ全てが明るみに出る日が来るだろう。捜査の手は容赦なく伸びている。2002年のワールドカップの最中に八百長が行なわれたことも、その他の八百長試合も既に公然の事実となっている。
そこに金銭が絡んでくるのは当然の流れだ。世界が湧くワールドカップは、世界最高峰のサッカーの祭典だが、その華やかな祭典の裏側にある闇は深く限りなく濃い。
【了】