記事執筆者はマドリー元強化担当。記名での寄稿にも信ぴょう性
現在、FIFAの長年に渡る汚職調査が行なわれているが、その汚職調査の一貫として、スペインのアス紙が2002年の日韓共催ワールドカップの際に、当時の日本サッカー協会名誉会長長沼健氏(故人)が南米サッカー連盟(CONMEBOL)に120万ドル(日本の一般紙の報道では150万ドル)を送金したと個人を名指しにして報道したことが先日、日本で話題になった。
なぜ、そんな以前の話が今更という疑問もあると聞いたが、たまたま元日本サッカー協会名誉会長の名前が出たために、日本でもこの事件は報道されたからとしか言いようがない。というのも、ヨーロッパではブラッター会長が牛耳っていた過去の汚職疑惑事件がFIFAゲートと名付けられ、連日話題となっているからだ。
スペインの主要スポーツ紙の一つであるアス紙が掲載したこの記事の信憑性についてどこまで信用できるのだろうという声もあるようだが、この記事を書いた本人を私はよく知っている。
まさに、日韓ワールドカップが行なわれた2002年当時、レアル・マドリーの強化担当をしていた人物であり、ラウール・ゴンサレス、イケル・カシージャス、ホセ・マリア・グティ、ミチェル・サルガド、イバン・エルゲラなどスペイン代表選手のみならず、ジネディーヌ・ジダン、ルイス・フィーゴなど各国代表を抱えていたマドリーには、取材の関係で何度となくお世話になった。
一言でいえば、サッカー界の酸いも甘いも知り尽くし、広い人脈を誇る人物であり、強化担当になる前はアス紙の記者だったために、現在再びアス紙に寄稿しているというわけだ。
アス紙に‘飛ばし’の傾向がないと言えば嘘になる。だが、この記事内容は信用できるものだという前提で私が話を進めるのは、これは非常に重大性のある告発であり、それを裏付ける確かな情報源がない状態で記者が自らの名で原稿にサインするリスクを犯すとはとても思えないからだ。