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セリエA 9年前

なぜミランは移籍市場で失敗し続けるのか? Mr.B氏による資金増強も次々と逃したビッグネーム

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

複雑な投機会社との関係性

なぜミランは移籍市場で失敗し続けるのか? Mr.B氏による資金増強も次々と逃したビッグネーム
“ミスターB”ことビー・テチャウポン氏【写真:Getty Images】

 話をJ・マルティネスとコンドグビアのケースに戻そう。彼らには共通項がある。ともに、「ドイエン・スポーツ・インベストメント」社の支配下にある選手だ。

 ドイエン・スポーツとは、プロスポーツクラブの資金繰りや信用貸付などのサポートを目的に設立された投機会社の一つである。選手の移籍金が高騰する移籍市場において、まとまった金を出せるクラブは限られている。そんな時選手の保有権を直にキープしつつ、それを担保にクラブに対して信用貸付を行う会社が現れた。ドイエン・スポーツはその大手として、近年ヨーロッパで市場を拡大している。

 ガッリアーニ副会長は、2年前からドイエン・スポーツのネリオ・ルーカス代表と懇意にしており、“ミスターB”ことビー・テチャウポン氏によるミラン株式買収交渉の際も強化の指南役として繋がっていたという報道もあった。そして今シーズンのミランが不振に終わり、シルビオ・ベルルスコーニ会長が大型補強を厳命すると、ガッリアーニはこの時とばかりにネリオ・ルーカスとのホットラインを活用しだした。地元メディアの空気を支配していた楽観論は、この関係に基づくものだった。

 ところが、ドイエン・スポーツを信頼しきっていたところにアクシデントが起こった。同社とJ・マルティネスとの代理人であるジョルジュ・メンデスとの関係にヒビが入ったのだ。各地元紙は報じたところによると、ドイエンはメンデスが面倒を見ているクリスティアーノ・ロナウドを配下に置き、自らの影響力の強いチームに引き込もうとしたところメンデスが憤慨。その腹いせとしてメンデスはアトレティコ・マドリーをけしかけ、高い移籍金を出して強奪させたのだという。

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