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Jリーグ 9年前

無敗優勝の浦和、動員減の鹿島。1stを終えたJリーグ、2ステージ制移行に特需はあったのか?

text by 藤江直人 photo by Getty Images

TV放送の特需はあったのか?

無敗優勝の浦和、動員減の鹿島。1stを終えたJリーグ、2ステージ制移行に特需はあったのか?
優勝が決まる神戸対浦和の試合は地上波の放送がなかった【写真:Getty Images】

 こうした閉塞的なスパイラルに陥っているクラブは、何もアントラーズだけに限らない。前出のJクラブ幹部は、2ステージ制導入の目的をより具体的にこう説明する。

「もちろん正しいのは通年制ですよ。正直な話、私たちだって2ステージ制には納得していない。それでも賛成したのは、野球好きな世代が占める割合の多い企業経営者に『サッカーもいいじゃないか』と思わせるためなんです。

 横浜ゴムが5年契約の総額370億円でチェルシーをスポンサードするように、日本企業は普通に大金を拠出できるんです。ただ、Jリーグ自体が投資する価値があると見られていない。企業がその気にならないのは、日常生活のなかにサッカーが見えてこないし、聞こえてこないから。だからこそ露出を増やし、観客動員を増やす手段として2ステージ制を採用した。

 ヨーロッパといっても、5大リーグ以外は優秀な選手をビッグリーグに抜かれていく宿命にあるから露出や観客動員を増やすためにさまざまなアイデアを練っている。その意味ではJリーグは世界においては中堅リーグであり、規模で比較すれば後発であるアメリカのMLSにあっという間に追い抜かれてしまった。

 放映権の差もあるけれども、MLSの場合は投資家が納得できる絵が先にしっかりと描かれている点でJリーグと根本的に異なる。投資というのはリターンがなければ成り立たない。日本の場合は何も描かれていなかったし、むしろ『お金をください』となってしまうからダメだったわけです」

 露出を増やすという意味では、レッズが優勝を決めた6月20日のヴィッセル神戸戦がスカパー!とNHKのBS1だけで生中継された点を不思議に感じたファンやサポーターも少なくないだろう。

 現状でJリーグの全国中継の放映権を保有する地上波は、NHKとTBSの2局しかない。20日の同時間帯はNHK総合がプロ野球の横浜対広島を生中継で、TBSはバラエティー番組を放送していた。

 特に前者が優勝争いにまったく無縁のカードを放送していたことも、スポーツビジネス界が依然として露出の多いプロ野球が中心となっている点と無縁ではないだろう。

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