首都圏ファンに依存した鹿島
アントラーズの観客動員数は、その半分を首都圏から訪れるファンに依存してきた。そうした状況に対して、フロントは1993年のJリーグ創成期から危機感を抱き、将来構想を練ってきた。
ブラジル代表としてワールドカップ・アメリカ大会制覇に貢献したビッグネーム、レオナルドとジョルジーニョを獲得したのはまさに先行投資。そのリターンとして1996年シーズンの初優勝を勝ち取り、ブランドを確立したことで、優秀な日本人選手を獲得できる土壌が整った。ハード面ではカシマスタジアムを改修し、2002年のワールドカップ・日韓共催大会の開催都市の誘致にも成功した。
もっとも、日本人選手の海外移籍が活発化した2010年シーズン以降は、代表選手を「幹」とするチーム作りが度々再考を余儀なくされてきた。DF内田篤人(シャルケ)やFW大迫勇也(ケルン)の移籍がその象徴であり、フロントの一人は「いまの状況で(柴崎)岳が移籍したら大変なことになる」と苦笑いする。
観客動員数もスタジアムがリニューアルされた2001年ファーストステージの19万5821人(国立競技場での代替開催5試合を含む)、1試合平均2万7974人が現時点でもピーク。2010年シーズンを最後に平均2万人を割り込み、今年のファースステージで過去最低レベルにまで落ち込んでしまった。
昨シーズンは優勝争いに加わったこともあって観客動員数もややもち直したが、開幕から大きく出遅れ、最終的に8位に甘んじた今シーズンは成績が如実に影響を及ぼしてしまう。
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