「先輩たちを見て『人間性』の素晴らしさに気づいた」
――近年大学サッカーは多くのプロ選手を輩出しています。一方でプロを目指さない選手も多くいます。そこの間でサッカーに対するモチベーションに差が生まれることはないのでしょうか?
山内「自分は感じないですね。『育成機関ではない』という話はよくされますし、サッカー選手の前に1人の人間として成長する組織であるというのが早稲田大学ア式蹴球部の掲げる考え方です。人間性を高めていくうえでプロを目指す人はプロへ行くし、プロを目指さないからちゃんとやらないというのもありません。就活で長期間休む人もいないので、モチベーションの差はないと思います」
新井「ヒロの言う通り、監督からは常日頃から『プロ育成所』ではないという話をされています。自分たちも『プロになりたい』とは言うものの、そのためだけに進んでいるのではなく、支えてくれる人たちに感動を与えたり、何らかの利益をもたらしたり、チームとしての軸を持ってプレーしています。この部分がプロを目指している人もそうでない人も同じだからこそ、モチベーションや日々の取り組みの意識に差が生まれないのかなと思います」
――人間的な成長が重要と言うことですが、『人間性』とは具体的にどんなことを指すのでしょうか?
新井「自分は先輩たちを見て『人間性』の素晴らしさに気づきました。先輩たちが道端に落ちているゴミを拾ってゴミ箱へ捨てるとか、信号を守るとか、挨拶をしっかりするとか、当たり前のことをおろそかにせずできることですね。それが自分にとって驚きで、このチームは今までだったら気にしなかったことができています。自分自身もそういった面での成長は少なからずできたのではないかと思っています」