厚い選手層。チーム得点王も4戦中2戦サブ
一方、日豪戦を前にした選手の発言やメディアの論調に「日本は格上、我々はアンダードッグ(格下)」という前提が繰り返し語られていたことには違和感を覚えた。このようなことは、サッカルーズを巡る報道では見られない。
サッカルーズの選手は、日本のことをアジア最強のライバルとは認めはしても、格上だとは思わない強烈な自負心がある。そんな彼らの「アジア最強たらん」という強い意志は、豪州がアジアカップで優勝を成し遂げる原動力になったと言っても過言ではない。
いくら、アンダードッグを尊ぶカルチャーがあるにしても、戦う前から相手を讃えていては実際のピッチ上での対戦も覚束ないだろう――そんな批判めいた思いを、日本がオランダに勝った試合を視察した直後にSBSのインタビューに答えるアレン・スタイチッチ監督の言葉が吹き飛ばした。
「今、(オランダ戦を)見てきたが、(日本の)パスやオフザボールの動きの質はおそらく大会のベスト。(中略)彼らは世界王者な訳だし、非常に良いチームに決まっている。でも、豪州だって非常に良いチームで、ここまで対戦相手の全てにとって危険な存在でありつづけた。だから、日本相手にはそうならないという理由は無い。我々が日本を破り得る脅威であることは間違いない」
ここまでの大会を4戦2勝1分1敗の成績で乗り切り、ベスト8に進出したマチルダス。その4戦での総得点は5 、失点4 、得失点差1 。チーム得点王は、ここまで3得点を挙げ、前日のブラジル撃破の立役者となったFWサイモン。そんな彼女でも、4試合中2試合はベンチスタートになるくらいに難敵相手の4試合の全てでも得点を挙げてきた攻撃陣の層は厚い。
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