ディフェンス能力も個の力
一方、5-1DF(図2)はサッカーでいうと、前線からプレッシングをかけることに特化したフォーメーションです。パスコースを予測してつぶし、相手の攻撃を分断することが狙いになります。
ただ、ハンドボールの場合、相手コートまで1トップの選手がプレスに行くというシーンはほとんどないですね。
しかし、この5-1DFでは1トップに位置している選手に求められるディフェンスの資質が非常に大切になってきます。
──このふたつのフォーメーションでは、どちらも決められたエリアを守る意識ですか?
ボールゲームには3つの守り方があります。ゾーンマーク、マンマーク、ボールマークです。先ほど例にあげたフォーメーションでは、どちらも基本的に自分のエリアを把握して守るゾーンディフェンスです。
シュートを打たせないように守備をしながら、相手を追い込んでいきインターセプト、パッシブプレー、ターンオーバーを狙うということが重要になってきます。
──こういった守備時のフォーメーションや戦術はハンドボールのジュニア年代の選手育成でも教えるものですか?
ハンドボール界では、ジュニア年代からディフェンスの原則原理を当然のように教えています。先ほども言ったように攻守両天秤のスポーツなのでマイボールにしなければ攻撃は始まりませんから。
さらに言うとハンドボール界で求められる人材は「ディフェンスのファンタジスタ」なんです。
一人で2、3人分のエリアを守れることや、チームとしてボールを奪いたい位置に誘い込める。そういったことが先ほど説明した布陣の5-1DFの1トップに入る選手に必要な資質です。
サッカーでいう、一人で何でもできる優秀なボランチのような役割です。例えが少し古いかもしれませんが、かつてレアル・マドリーなどで活躍したクロード・マケレレのような選手です。