最大の課題は得点力不足
第一防波堤となるべき中盤の底には、小柄だが運動量の豊富なミルナーをマンチェスター・シティから手に入れている。脂の乗った29歳は便利なマルチロールとしてではなく、中盤レギュラーとしての加入と見られていることから、来季の基本システムは4-3-3の線が濃厚。経験を生かしてリーダーシップを発揮できるミルナー、キャプテンマークの後継者と目されるヘンダーソン、DF兼任から解放されるはずのジャンによる3センターは、ジェラードという大輪の花を失って見た目は地味だが、攻守に効果的なユニットとなる期待が持てる。
その背後は、第1弾オファー拒否にめげずにサウサンプトンとのクライン獲得交渉を進めれば、ジョンソン放出による右SBの穴が長期的にも埋まる。統率の乱れは、新CBを獲得せずとも、ロブレンではなくサコを要とする最終ライン構成で改善可能と思われる。
となれば、残るは最大の課題でもある得点力の強化だ。スアレスがバルセロナへと去り、スタリッジが怪我に泣いた昨季は、前年の101から52へとリーグ戦得点数の激減が致命的だった。代役として期待外れに終わったバロテッリには、終盤戦で戦力外視されていた事実からしてもリバプールでの将来はなさそうだ。
獲得候補には、昨春から動向を追っていたフィルミーノのような攻撃的MFも含まれているが、補強の焦点がぶれるようなことがあってはならない。同タイプのスターリングが、タイトル獲得とCL出場を求めて移籍を望んでいることは事実だが、実際にスターリングが抜けたとしても、チームには3トップのアウトサイド、またはオプションと想定される4-2-3-1で2列目をこなせる人材が十分に揃っているのだから。
昨季のチームMVPと言えるコウチーニョ、台頭中のアイブ、1年目の昨季は揃って出場機会が限られたララナとマルコビッチといった既存の攻撃的MF陣を実戦で磨き続けるのが得策だろう。