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Jリーグ 9年前

「じゃないほう」がなくなると信じて――。1stステージ制覇へ。浦和レッズを変えた男、武藤雄樹

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「浦和レッズのサッカーに自分の特徴が上手くマッチしたから」

 チーム事情もあって、ベガルタ時代はサイドハーフで起用されることが多かった。武藤本人はフォワードとしてのプレーに強いこだわりをもってきた。前出の関係者には、こんな言葉を漏らしていたという。

「相手のディフェンダーとの駆け引きなら、絶対に負けない自信がある。それが自分のストロングポイントでもある」

 そうした思いを、レッズからのオファーと指揮官の言葉、そしてシャドーでの起用法が満たしてくれた。飛躍する条件は整っていたわけだが、武藤本人はどこまでも謙虚に自分自身の現在位置を見つめている。

 ベガルタ時代のゴール数に、わずか十数試合で並んだ理由にも「正直、よくわからない」と苦笑いする。

「言えることは、特別にシュートが上手くなったわけでも、ドリブルが上手くなったわけでもないということ。やはり浦和レッズのサッカー、ポジションや戦術といったものに自分の特徴が上手くマッチしたからだし、チームメイトがいいボールをくれるからだと思っています。そのパスを決めるだけのポジションにいることができているので、この姿勢を続けていけばまたゴールも生まれると思っています」

 プレミアリーグの名門チェルシーからのオファーが発覚し、熟慮した末にブンデスリーガのマインツへの移籍を決めた日本代表FW武藤嘉紀(FC東京)と同じ姓ということもあり、レッズのチームメイトからは「じゃないほうの武藤」といじられてきた。

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