■ミハイロビッチの戦術とは？

　さて、ミハイロビッチの就任でミランはどう変わるのだろうか。強固な組織守備からのショートカウンターを志向し、前任者よりも守備寄りながらやろうとしていたサッカーと大きく変わらないだろう。

　システムは4-3-3もしくは4-2-3-1を敷くことが多いものの、あまりこだわりはない。地元紙は獲得濃厚とされるジャクソン ・マルティネスを使った2トップを予想しているが（例によってベルルスコーニ会長の希望だろう）、システムには柔軟であることを考えればあり得る話だ。

　戦術分析や試合中の展開を読む力にも長ける監督だが、彼の資質は戦術どうこうというよりもリーダーシップにある。自らに選手としての実績があっただけに、練習や試合での指導は非常に厳しい“鬼軍曹”だ。今年2月のジェノバダービーで、終了間際に軽いボール処理からあわや失点というミスをしたDFに、試合直後殴りかかったこともあった。

　少なくとも規律に欠ける今の選手たちを締め上げるという意味においては、これ以上に適切な人選はないだろう。バラバラだったミランを戦う集団に変えることができるか、お手並み拝見である。