検証されるべきチームマネジメント
一方、1週間前倒しで行った欧州組のトレーニングも議論の余地がありそうだ。「オフに入った選手たちのコンディションにばらつきがある。それを修正しなければいけない」というハリルホジッチ監督の考えから、1日に長谷部誠(フランクフルト)ら8人、3日に岡崎と長友、5日に本田と香川が合流。
吉田麻也(サウサンプトン)が「クラブのシーズン前のキャンプよりきつい」と話すほどのハードな2部練を連日こなすことになった。
それもシンガポール戦で全員がシーズン中のキレと鋭さを出すのが最大の目的だったのだが、結果的には清武弘嗣(ハノーファー)と長友が負傷離脱。本田や香川らもイラク戦よりシンガポール戦の方が走れていない印象だった。
「僕たちは1回休んでるので、戻すためのトレーニングは必要不可欠。ただ、シーズン中より走れてたかと言えば、まだ分かんないです」とイラク戦の後、酒井宏樹はシンガポール戦で自分がどうなるのか、多少なりとも不安を覚えていたという。
その本番は結局、さまざまな要素が絡み合って、ラスト10分間のパフォーマンスが落ちてしまった。「チーム全体として焦ったのもありますし、前半から上げすぎたぶん、最後になって落ちたのもあって、そこでクオリティが落ちたのがすごく悔しい」と本人も反省しきりだった。
もちろん、岡崎が「決められなかったこと。それに尽きるのかなと思います」と言うように、20本近い決定機をモノにできなかったことがドローの最大の要因だ。
監督が変わったからといって、決定力不足という根深い課題が劇的に改善されるわけではない。ただ、今回の16日間に及ぶハリルホジッチ監督のチームマネジメントが本当に正しかったのか否かは、しっかりと検証されるべきだ。
いずれせよ、9月以降の2次予選のゲームはもはや失敗は絶対に許されない。指揮官にも選手たちにも自分たちの置かれた立場を客観視し、危機感を持つことを忘れないでもらいたい。
【了】