イラク戦からの継続性なし。危機対策に不安
これで得点が取れないと見るや、指揮官は柴崎岳(鹿島)に代えて原口元気(ヘルタ)を投入。より攻撃的な4-1-3-2にシフトしたと思われた。が、原口が「岳のポジションにそのまま入ったんで、ボランチというか、ボランチの少し前のポジションだった」と説明したように、彼の位置は想定外のものだった。
「監督の指示としては散らしながらチャンスがあったらゴール前に入っていけと。でも難しかった」と本人も苦笑するしかなかった。あまり経験のない仕事を公式戦でいきなり託されるのは、やはりハードルが高い。原口が戸惑いをのぞかせるのもムリはなかった。
長友佑都(インテル)負傷による太田宏介(FC東京)の左サイドバック先発、岡崎と大迫の2トップにしても、トライする可能性があるのなら、11日のイラク戦(横浜)で事前に試しておくべきだった。けれども、太田はイラク戦では出番なしに終わったし、大迫は岡崎と交代。原口も香川の担ったトップ下にそのまま入っただけだった。
「大迫や武藤(嘉紀=FC東京)のヘディング、あるいは原口のボール運びも見たかった。トレーニングのなかでは、こういうポジションもやらせていた」とハリルホジッチ監督はシンガポール戦後に説明していたが、試合の中でやらせるのとはやはり違うのだ。
この日、緊急先発した太田も「宇佐美との連係は問題なかった」と前向きにコメントしていたが、「10番(ナワズ)がボールにこないで残っていて、なかなかスペースがなかったので、難しいという話は貴史としていた」とも語っており、もう少し宇佐美とコンビを熟成する時間がほしかったはずだ。
イラク戦の半分でも2人のタテ関係が実現していれば、この日の左サイドはもっと多彩な攻めをもたらせたかもしれない。今回の6月シリーズは日本代表の準備期間が比較的多く取れた方。それだけの時間をうまく結果に結び付けられなかったのは残念だ。