後半システム変更も相手をこじ開けられず
「明日の試合には罠が仕掛けられている。相手を過小評価してはいけない」とシンガポール戦前日会見で強調していたヴァイッド・ハリルホジッチ監督。だが、16日に埼玉スタジアムで2018年ロシアW杯アジア2次予選初戦本番に挑んだ日本は、指揮官が懸念していた通りの罠にはまってしまった。
開始15秒の宇佐美貴史(G大阪)のファーストシュートを皮切りに、日本はシンガポールにシュートの雨嵐を降らせた。
前半は中央からの崩しにこだわりすぎる嫌いがあったが、それでも24分の香川真司(ドルトムント)、27分の宇佐美、31分の岡崎慎司(マインツ)とこの時間帯に立て続けに3度の決定機を作る。香川はフリー、宇佐美と岡崎はGKとの1対1だったが、冷静さを欠いて決めきれない。
0-0で折り返したハーフタイムには、指揮官が「中に行き過ぎている。もっとダイヤゴナルに展開しろ」と指示を出し、選手たちもそれを実践すべく意識を高めたが、依然として工夫が足りず、なかなか相手をこじ開けられなかった。
そこで、ハリルホジッチ監督が真っ先に講じたのが、香川と大迫勇也(ケルン)の交代という策。大迫を岡崎と2トップに並べて前線を厚くしたのだ。この時間帯は香川が消えるシーンが目立っていたため、采配自体は問題なかったが、狭いスペースで大迫と岡崎がお互いを消しあうようなマイナス面も見受けられた。
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