ヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】
【日本 0-0 シンガポール 2018年ロシアW杯アジア2次予選】
「1試合目はいつも罠を仕掛けられている」
“勝って当然”と思われていたシンガポールを相手に、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督自身も「支配し続けて19回ほどの得点機を作った」と言うように内容でも圧倒したW杯アジア2次予選初戦。
しかし、冒頭の言葉が示すように引いて守ったシンガポールを崩すことができず0-0のドローに終わった。
遡ること3月31日、自身体制下2試合目でウズベキスタンと対戦し、後半4得点のゴールラッシュで5-1と大勝した際には試合後の会見で「後半、罠を仕掛けた。我々はブロックを作ったが、わざとだ。相手を来させてスペースを空けた。そして、我々はボールを奪って速い攻撃を仕掛け、4点取れた」と語り、“東欧の智将”たる所以を見せつけたハリルホジッチ監督。
しかし、シンガポール戦後の会見では「前半は中に攻め過ぎた。中から攻めると最後のフィニッシュが難しい」とし、「後半に2人FWを置いて、センターリングを両サイドから入れて2人に合わせようとしたが、完全に仕留められなかったのは正確さが足りなかった」と悔しさをにじませた。
そして、「フットボールにはマジックはない。真実は、得点を取るためにトレーニングするだけ」と語たり、「シンガポールの選手たちにおめでとうと言いたい。求めていた結果を得たんだなと思う」と勝ち点1をもぎ取った相手を称えた。
前述のウズベキスタンとの一戦では、自らの策で相手を攻略したが、シンガポールを相手にしたW杯予選初戦では、逆に相手の策にはまり、解決策を見いだせないまま試合終了を迎えた日本代表。
この試合で最大のマジックを披露したのは、ハリルホジッチ監督が「6、7点防がれた」と称えるシンガポールのGKイズワン・マフブドだが、指揮官の言葉を借りれば、それはたゆまぬ努力の結果である。
【了】