ハンドボールとサッカーの局面
──どういった部分に集約を感じますか?
攻守の切り替えの部分ですね。サッカーはハンドボールサイドへ、ハンドボールはサッカーサイドへ向かっていると思います。サッカーでいえば昔はそれほど攻守の切り替えが激しいスポーツではなかったと聞きます。
しかしハンドボールは創世記から攻守の切り替えが重要なスポーツでした。昨今のサッカーにおいては、攻守の切り替えが非常に重要で4つの局面(ボールを保持しているとき・ボールを保持されているとき・ボールを奪ったとき・ボールを失ったとき)でのすばやい判断がゲームの勝敗を左右していますよね。
ハンドボールはそういった局面が速いゲームだったので、これは“サッカーのハンドボール化”と言える部分だと思います。しかし、現在ハンドボールでは逆の現象が起こっていて、昔はボールを奪った局面でほとんどの攻撃に速攻を用いていました。
しかし最近はヨーロッパのチームを中心に、速攻のテンポを意図的に落としてボールを回しながらビルドアップをするというチームも出てきています。このあたりはハンドボールがサッカーに近づいている点だと思います。
──そもそもハンドボールはどういったスポーツなのですか?
まずは先ほど言ったように攻守の切り替えが非常に重要なスポーツだということ。さらに守備で言えば、基本的に全員が自陣に引いて守るということ。攻撃で言えば、自陣に相手がベッタリ引いているのが基本なので、必然的にお椀型にボールを回す“横パス”の展開が多くなります。
そうやって横パスを回しながら流動的なポジションチェンジを行い、間(ギャップ)を突いてバイタルエリアを空けてフィニッシュに持っていくのが現代ハンドボールのオフェンストレンドです。
なので両サイドにウイングを置いてディフェンスをサイドに開かせるのが基本です。