期待感が高かったセレッソ。Jリーグ全体へ後ろ向きな影響を及ぼす可能性も
2013年度と2014年度のセレッソの営業収益を比較すると4億9800万円のアップとなっているが、そのなかで入場料収入だけは9億5400万円から8億5600万円と9800万円も減少している。
一方で支出の総額となる営業費用は6億5800万円もアップ。12億1200万円から16億8000万円に増えたチーム人件費が、支出のなかで最多となる約43.5%を占めている。
言うまでもなく、年俸6億円とされるフォルランの加入がチーム人件費を押し上げていた。岡野前社長はフォルラン獲得を「先行投資」と位置づけ、身の丈にあった経営が長く謳われてきたJリーグに「新風を吹き込みたい」とも意気込んでいた。
2014年シーズンのJ1を戦ったクラブのチーム人件費のアップ額を比較すると、4億6800万円増のセレッソは他チームの追随を許さなかった。まさに「投資」となるが、J2降格という結果に照らし合わせれば、残念ながら投資額に見合った「リターン」が得られなかったことになる。
あるJクラブの幹部は、2014年シーズンにセレッソが刻んだ軌跡が、Jリーグ全体の縮小均衡傾向に拍車をかけるのではと危惧する。
「業界全体のためにあれだけの投資をして、頑張ってくれたセレッソは、ある意味で結果を出さなければいけないクラブだった。どこかが投資のスイッチを入れてくれればと思っていたし、フォルランを獲得したセレッソがその役目を果たしてくれるとも期待していたんですけど。ビッグネームを獲得したチームが降格したわけだから、無駄な投資はするものじゃないと考えているクラブは少なくないと思う」
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