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Jリーグ 9年前

フォルラン退団に見るC大阪の苦しい台所事情。失敗した先行投資、J1昇格への茨の道

text by 藤江直人 photo by Getty Images

伸びなかった観客数。目標より約10万人少なく

 2013年シーズンには「セレ女」という造語も生み出し、浦和レッズ、横浜F・マリノスに次ぐ3位の入場料収入を誇ったセレッソが、4年ぶりに単年度赤字に転落した理由はどこにあるのか。Jリーグ・クラブ経営戦略部の青影宜典クラブライセンスマネージャーは、こう推察している。

「客観的に申し上げられるとすれば、やはり成績が伴わなかった点にあるのかなと思います」

 W杯南アフリカ大会で得点王とMVPを獲得したフォルランは、日本サッカー界にとっても久々のビッグネームだった。日本代表のFW柿谷曜一朗(現バーゼル)、MF山口蛍、次世代のホープ南野拓実(現ザルツブルク)らも擁し、人気が急上昇中だったところへ世界的なスーパースターが加入したセレッソには開幕前から華やかなスポットライトが当てられ、優勝候補の一角にも挙げられた。

 営業でも活況を呈し、3席一口で45万円もするスーパーシートSを含めて、7種類の年間指定席がすべてキャンセル待ち状態となった。ヤンマースタジアム長居(収容人員4万7000人)と隣接する金鳥スタジアム(同2万5000人)の使用比率を反転させ、公式戦における観客動員目標を52万人に設定した。

 2013年シーズンと比べて実に16万人増という目標数値に、フォルラン獲得に奔走した岡野雅夫社長(当時)は自信満々にこう語っていたほどだ。

「経営は『期待』ではできません。『確信』をもってやらないと」

営業収益に占める入場料収入の割合を20%から30%台へと大きく増やす強気の予算を編成していたが、開幕からしばらくすると状況が一変してくる。

 なかなか状態が上向かないチーム状況に歩調を合わせるように、観客動員も伸びない。2度に及ぶ監督交代を経て、下位に低迷し続けた7月以降で3万人を超えたのは1回しかなかった。

 1対4で完敗し、3度目のJ2降格が決まった鹿島アントラーズとのホーム最終戦も2万3330人しか集まらず、トータルの観客動員数も42万6158人にとどまった。

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