「何かもう1つ上を目指して、さらなる要求を自分にしていかないと」
そんな武藤にぜひ見習ってほしいのが、岡崎の頭抜けた意識の高さだろう。日本代表通算91試合出場41ゴールという偉大な数字を残している29歳の点取り屋は、どうしたら世界で勝てるか、好結果を残せるかを日々、模索し続けている。だからこそ、日本を劇的に変えようというハリルホジッチ流の細かく厳しいアプローチを大いに歓迎しているのだ。
「ブラジルとかアルゼンチンとかスペインとか、強豪と戦うっていうのは並大抵のことじゃない。特にW杯でああいう惨敗も経験したし、普通じゃダメだと思う。普通のことをやっていたら、何年かで自分たちが目標としていることを達成はできない。だから監督の言うことには共感しているし、言われたことをやらないといけないと感じる。
でも、言われたことをやるだけでは同じことの繰り返しになる。言われて厳しくやりながらも、個人として何かもう1つ上を目指して、さらなる要求を自分にしていかないと。若い選手は特にそうだと思う」と岡崎は年齢に関係なく、監督の指示を生かしながらも、選手自身が自ら殻を破っていくことの重要性をこの日も切々と訴えていた。
武藤が先輩のような劇的な飛躍を遂げようと思うなら、まず今回の2連戦で確実にゴールという結果を残すことが肝要である。代表レベルでどうすれば得点を量産できるかを、彼は岡崎の一挙手一投足を間近で見ながら真剣に考えるはずだ。
レスターやボルシア・メンヘングラッドバッハへの移籍話が浮上している岡崎と来季のマインツで一緒にプレーできるとは限らないだけに、今回の限られた時間を確実に生かさなければならない。
【了】